村上うさぎのほほほのほ!


詩集を出すのをきっかけにブログを始めてみました!
by super-usagi
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村上うさぎは2011年7月に第一詩集を出版しました!
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山尾三省詩集「びろう葉帽子の下で」より

火を焚きなさい

山に夕闇がせまる
子供達よ
ほら もう夜が背中まできている
火を焚きなさい
お前たちの心残りの遊びをやめて
大昔の心にかえり
火を焚きなさい
風呂場には十分な薪が容易してある
よく乾いたもの 少しは湿り気のあるもの
太いもの 細いもの
よく選んで 上手に火を焚きなさい

少しくらい煙たくったって仕方ない
がまんして しっかり火を燃やしなさい
やがて調子が出てくると
ほら お前達の今の心のようなオレンジ色の炎が
いっしんに燃えたつだろう
そうしたら じっとその火を見詰めなさい
いつのまにかーーー
背後から 夜がお前をすっぽりつつんでいる
夜がすっぽりとお前をつつんだ時こそ
不思議の時
火が 永遠の物語を始める時なのだ

それは
眠る前に母さんが読んでくれた本の中の物語じゃなく
父さんの自慢話のようじゃなく
テレビでみれるものでもない
お前達自身が お前達自身の裸の眼と耳と心で聴く
お前達自身の 不思議の物語なのだよ
注意深く ていねいに
火を焚きなさい
火がいっしんに燃え立つように
けれどもあまりぼうぼう燃えないように
静かな気持ちで 火を焚きなさい

人間は火を焚く動物だった
だから 
火を焚くことができれば それでもう人間なんだ
火を焚きなさい
人間の原初の火を焚きなさい
やがてお前達が大きくなって 虚栄の市へと出かけて行き
必要なものと 必要でないものの見分けがつかなくなり
自分の価値を見失ってしまった時
きっとお前達は 思い出すだろう
すっぽりと夜につつまれて
オレンジ色の神秘の炎を見詰めた日々のことを

山に夕闇がせまる
子供達よ
もう夜が背中まできている
この日は充分に遊んだ
遊びを止めて お前達の火にとりかかりなさい
小屋には薪が充分に用意してある
火を焚きなさい
良く乾いたもの 少し湿り気のあるもの
太いもの 細いもの
良く選んで 上手に組み立て
火を焚きなさい
火がいっしんに燃えたつようになったら
そのオレンジ色の炎の奥の
金色の神殿から聴こえる
お前達自身の 昔と今と未来の不思議の物語に耳を傾けなさい


三省は日本のヒッピー、部族のまた中心的な人でした。一度だけお目にかかった印象はとても謙虚な方でした。今この詩集を読んでいます。
by super-usagi | 2012-11-23 20:39 | | Comments(0)
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